ぜんそくという病気は、咳をする病気です。ただ同じ咳をする病気でも、「風邪」とは大きな違いがあります。それは、「息が苦しい」ということです。

ぜんそくの子がゼーゼー、ヒューヒューする時にどのようなことが体の中でおこっているかというと、空気の通り道の気管支が狭くなっています。だから、息が苦しくなるのです。このような時を「ぜんそく発作」と言います。ただし、ぜんそくと言われていなくても、気管支が敏感な子は風邪をひいたときゼーゼーしますし、乳児にはゼーゼーするウイルス感染もあります。風邪の時、聴診された先生から「ぜんそく気味」とか「ぜんそく性気管支炎」とか「ぜんそく様気管支炎」と言われたお子さんもいらっしゃると思います。このような、ぜんそくかどうかはっきりわからない状態は多くありますが、「ぜんそくである」という診断はそれほど重要ではありません。ゼーゼー、ヒューヒューした時は、原因がぜんそくでなくても気管が狭くなっていることが多いので、ぜんそく発作と治療は同じなのです。

ぜんそく発作の治療は、狭くなった気管支を広げる薬を使います。発作の程度にもよりますが、まず、すぐに効かないと息苦しい時間が長くなるので、一番即効性のある吸入治療をします。それでも、息苦しいのが続くときは、再び吸入をしたり、点滴などをします。

しかし、発作が治まった後も、気管支には「炎症」が残ります。「炎症」は時間がたつと自然に治りますが、重い発作の後や繰り返した発作の後は、この「炎症」が強く、なかなか治りません。また、この「炎症」があると次の発作が起こりやすくなり、発作が起こるとさらに「炎症」は悪化します。そこで、この悪循環を止めるために、重い発作の後や繰り返した発作の後には、「炎症」を抑える治療が必要になります。代表的な薬は、ステロイド吸入薬、ロイコトリエン拮抗薬、抗アレルギー剤、テオフィリンです。これらは、気管支喘息発作をコントロールするという意味から「コントローラー」と言われます。この中で、特にステロイド吸入薬に対しては、副作用を心配されるご両親が多いと思います。しかし、ステロイドの内服薬や注射薬に比べて、副作用が出る確率はものすごく小さいです。また、気道の炎症を抑える力が強いので、欧米ではゼーゼー、ヒューヒューしただけで赤ちゃんでもすぐに使われます。ぜんそくの悪循環をおこす方が怖いという考え方です。日本では、そこまでステロイド吸入は普及していません。しかし、ステロイド吸入が普及しないことが、日本の喘息死亡率が欧米より高いことや、小児期に寛解せず大人に喘息を持ち越すことが多いことの原因ではないかと言われています。当院では、すぐにはステロイド吸入薬を使いませんが、他の薬ではぜんそく発作を予防できない時や重い発作の時には、よくご説明し納得していただいた後、少なくとも一時的には積極的に使います。

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ぜんそく(気管支ぜんそく)